シリーズ歴代最多となる5部門にノミネート
007シリーズ50周年を記念する第23作目の『スカイフォール』が、アカデミー賞の歌曲賞、作曲賞、撮影賞、音響編集賞、音響賞の各部門にノミネートされた。今回の作品はシリーズ最高の全世界興行収入を記録しており、批評家たちからの評判もよく、アカデミー賞の有力候補になるのではとの期待もあった。
ところが、ふたを開けてみればノミネートはされたものの、主要な部門(作品賞、脚本賞、監督賞や各男優賞・女優賞など)にはひとつもノミネートされず、期待していただけにとても残念。
(作品賞や主演男優賞は狙えたような気もするがなぁ)
いろんな意味で、これまでとはひと味違う『007』
『007 スカイフォール』は50周年を節目としてか、これまでのシリーズに敬意を表しながら、過去からの訣別→新たなる出発を感じさせる内容だ。前半はシリーズのお約束が新旧入り交じった形で登場して歴代シリーズファンにはたまらない。
しかし、後半になると雰囲気が一変する。これってほんとに007シリーズ? と疑わせるほどの重厚な感じ。
ボンドガールの扱いも、これまでとはちょっと違う。強いていえば、本作のボンドガールは「M」なのかも。最初に出てくるボンドガールが、あんな事をしたのにやけにボンドに馴れ馴れしいのも気になったが、その理由も後でわかる。
過去のシリーズのしがらみを洗い流して、新しいスタートのはずの本作なんだが、最後にはあっといわせる場面もあって、思わず次回作はどうなるんだろうと期待させられてしまう。
いろんな名シーンがあったが、一番印象に残ってしまったのは、タイトルバックの映像とアデルの主題歌だ。一度聴くと、頭に残ってなかなか離れない。これだけ印象深く頭にこびりつくというのは、やはり名曲なのだろう。
アカデミー賞歌曲賞は、アデルの『スカイフォール』で決まりだ。